【会社および従業員がやってはならない差別の事例】
会社と従業員は、憲法に定める基本的な人権を尊重し、いかなる差別や嫌がらせも行わないことはもとより、労働関連法令ならびにその精神を尊重しなければなりません。そのため、やってはならない行為を以下に例示しますが、これにとどまるものではないことは言うまでもありません。
一、女性であることを理由に、補助的な業務を続けさせ、資格や賃金を低く抑える。
二、思想、支持政党、労働組合活動、およびインフォーマル組織の活動への協力度を理由に、仕事(業務従事資格の付与を含む)、資格、賃金などで格差をつける。
三、合理的な理由がなく、本人の意思に反して、仕事を取り上げる、極端に少なくする、席や執務場所を隔離する。
四、仕事上のミスや行き違いを口実に、みなの前で大声で非難・罵倒する、始末書や反省文を要求する、つるしあげる、社内規定にない私的制裁を加えるなどで、精神的または肉体的に苦痛を与える。
五、合理的な理由がなく、仕事や安全衛生などの教育・研修、または社内公開講座などを受けさせない、またこれらの開催や募集を知らせない。
六、合理的な理由がなく、会社の福利厚生制度の利用を制限または拒否する。
七、会社行事、職場行事および日常の職場の交友において、特定の従業員を無視、嫌がらせ、排除を行う。またはこれを働きかける。
八、合理的な理由がなく、会社体育文化会サークルへの入会を拒否する、退会を求める。
九、「話をすると同じに見られるから損だよ」などの忠告・助言という形であっても、結果的に特定の従業員とのあいさつ・対話・交友を、監視・制限・妨害する。
十、香典、祝い金、餞別などを集めない、知らせないなどで、特定の従業員を職場内の冠婚葬祭から排除する。
十一、就業時間内にインフォーマル組織の活動や会議を行う、またはこのために施設使用や外出などの便宜を図る。
十二、特定の従業員が配布するビラなどを受け取らないように働きかける。
十三、新入社員教育などで、労働組合活動に関し特定の従業員や団体を非難し、またはビラの受け取り拒否などの非協力を教唆する。
十四、思想、支持政党、労働組合活動の傾向、インフォーマル組織の活動への協力度、居住地での活動、家族の活動、および私病歴などを調査する。またこれらをリスク・マネジメントの対象にする。またこれらを目的にした教育を行う。
【差別に対してとるべき会社および従業員の態度】
差別に対する会社および従業員の態度は、以下の7つに分けられます。
(1) 差別をする人(言葉や行動で差別をする人)
(2) 差別を煽る人(差別をする人を指示し、差別を助長する人)
(3) 差別に同調する人(差別をする人と同じ考え方に立つが、行動に
は出ない人)
(4) 差別に無関心な人(差別があっても気づかず、自分とは関係ない
と思っている人)
(5) 差別に傍観者の立場で接する人(差別があることは知っているが、
ただ眺めている人)
(6) 差別される人(本人に責任や原因がないのに、他の人から差別を
受ける人)
(7) 差別をなくすために努力する人(差別をなくすことに努力し、上
記の人たちの啓発等をしていく人)
上記(1)〜(3)の人たちが、人間として許されない立場に立っていることは言うまでもありませんが、(4)無関心な人、(5)傍観者が、差別の事実を容認し、結果として差別を支え、そのために苦しんでいる人がいることを真摯に考える必要があります。
会社と全従業員は「そんなつもりはなかった」「知らなかった」などと自分に直接かかわりのない問題として、無関心な態度を取るのではなく、差別問題を正しく理解し、(7)差別をなくすために努力をする人をめざしてください。
(以上)